折紙あかり-富士- 完成までの道のり①

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弊社のオリジナル商品として、折笠の照明を製作しているのですが、このたび満を持してついに富士山を製作いたしました。
ただこの富士山、一筋縄ではいかず色々と試行錯誤を繰り返しました。
その険しくも楽しかった長い道のりをここに書き記していこうと思います。

安易な思い付きから始まりました

コロナ禍も明けつつあると巷で言われていたある日のこと、そろそろ海外からの観光客の皆さんも増えてきているし、その方達に気に入ってもらえそうな何かを折笠で作ろうかなと考えていましたら、皆さんこぞって富士山に登っているというニュースをテレビで見まして『そうか!富士山か!』となりまして、作ってみることにいたしました。

まずは富士山の形を決めます

まずは、大きさです。簡単なイラストを描いてイメージを膨らませます。直径や高さ、稜線のカーブなどをざっくり決めていきます。

大体の形が決まったら図面を手書きします。カーブのなだらかさなどのバランスを見ながら山折り谷折りの幅や折り方を決めていきます。
次にCADで図面を書いてみます。この時点ではまだ100mm幅ほどだけ書いて折ってみます。(山にして5山程です)
ここで何度も図面を書いては折ってを繰り返します。

全体を折った後に上の写真のようにリングを入れるのですが、この部分をどうするか、またてっぺんの火口部分をどうするかなど、ここでも図面を書いては折り…を何度も繰り返し、決めたらいよいよ全体の図面を書いて折ってみます。(図面のサイズは、裾野部分の直径を200mmにする場合、200×3.2=640mmなんですが、山折り谷折りしますので、1.5倍にします。ひだを細かくしたい場合は1.8倍くらいがいいと思います。高さは100mm幅で何度も折った時に決めます。)

この時、大・小・少し高めの3パターン作りまして社内のみんなに見てもらい、飾りやすい小のサイズで製作することに決定いたしました。(ほぼ最初のざっくりデッサンのとおりです)

紙を決めます

裏打ちの紙でこんなに違います

折笠の裏打ちは、弊社では白のケント紙を使うことが多いのですが、ケント紙は白でも灯りを当てると電球色のような暖かみが出ます。商品によってはそれが良い場合もあるのですが、今回は雪が積もった富士山を作りたいので、灯りを当てても白のままに近い羊皮紙の白を裏打ちに使います。羊皮紙と言いましても本当に皮で作られている訳ではなく昔の羊皮紙に似せて作られた紙です。

羊皮紙
上が羊皮紙で下がケント紙です

上の写真の羊皮紙とケント紙の光を通した時の違いをお分かりいただけるでしょうか。
同じ白でも紙によってこんなに違いがあります。

青海波模様の和紙を表側に貼ります

日本の伝統模様の一つである『青海波』。穏やかな波が無限に広がる図柄は未来永劫平和が続くことを願う縁起の良い文様です。この吉祥文様が漉かれた和紙を青のグラデーションに染めて白の羊皮紙を裏打ちすると、羊皮紙を直接染めたものよりも点灯した時に明るく綺麗ですし、部屋の照明を落として富士山の灯りだけを点けますと幻想的な雰囲気になります。

紙の染めについての続きはまた次回書きたいと思います。